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宝箱の家

静岡市にお住まいのMさんは、2012年に新築するまでは、昔ながらの一軒家の借家に暮らしていました。

隣が公園でどの窓からも緑が見えることや、子供達が騒いでもあまり気に入らないことなど、この家での暮らしはとても気に入っていたものの、3人の子供達が成長し、手狭になってきたことから新しい住まいを考え始めたそうです。

当初は、気に入っていたその借家を買い上げられないかとか、雰囲気のよい中古住宅を買ってリノベーションもいいかも・・・と考えていたそうで、でもリノベーションも意外と費用がかかるからやっぱり新築かな・・・・と、建売住宅を見に行ったり、展示場を見て回ったりなど様々な選択肢を考えていたそうです。でも、結局はどの選択肢にも”決め手”がありませんでした。

そんなある日、ご夫婦は「小さな家。計画」という本に出会います。

小さな家。計画(エクスナレッジ刊)

Mさんご夫婦

この本に書かれていた「自然と親しむ、開放的な家」という考え方にとても共感したご夫婦は、本の中でも特に気に入っていた「フォルクスS-Pro」(鹿児島の工務店「シンケン」が、OMソーラーと共同でプロデュースした住まい)が静岡でもLOHASで建築可能なことを知り、意を固めたそうです。

そうして、シンケンの迫社長による設計プラン、当時シンケンのインテリアコーディネーターだった現・DWELLの川畑さんによる家具コーディネート、LOHASの施工という布陣によるMさんの新しい住まいが完成しました。

この「街中のコンパクトな3階建の住まい」には、建物の方向を道と並行に建てずに斜めに振ることによる、隣の家の窓と視線が交わらない工夫や、敷地の角にできる余白を上手に生かした抜けのある庭など、普通の家ではあまり見かけることのない様々な工夫が盛り込まれています。

取材で伺った際、子供達は3階で遊んだり、キッチンでお菓子を作ったりと気の向くままに動き回っているのですが、フロア全体がワンルームのように感じられる開放的な間取りと吹き抜けの効果で、家のどこに居てもお互いの気配が感じられるので、「家族が一つ屋根の下にいる」という安心感が感じられました。

また、この家で使われている家具の多くは、川畑さんがシンケン在籍時にプロデュースしたもの。
それぞれの家具が、デザインだけでなく機能の面でも優れた特徴を備えています。

景色を楽しみながら、一人でホッと一息

曲線が美しいダイニングテーブルとチェアは、シンケン時代に川畑さんがデザインしたもの

オリジナルの照明は移動できるので便利に使える

丸テーブルは、椅子さえ増やせば大人数にも対応できるのが魅力

壁のPLAYWALLに取り付けたデスクは子供の成長に合わせて高さを変えられる

PLAYWALLを利用した棚で見せる収納

奥様の趣味は手づくり市などで作家さん達の手づくりの品を集めること。
集めてきた籠を上手に組み合わせ、可愛らしいモビールが至るところで揺れています。
そんなお母さんの影響か、娘さんもお菓子作りや工作が大好きとのことで、この日も家にある材料でお菓子を作っては皆に振舞っていました。
古いものも新しいものも、たくさんのモノを自然に受け容れることができる、そんなこの家は「宝箱」のような家だと思いました。

みんなで作業が楽しいアイランドキッチン

可愛らしいモビールなどが随所に飾ってありました

窓を開けるとすぐに水やりできる場所にたくさんの多肉植物が

自然素材の家には手づくりのモノがよく合います